キーワードとなったのは
地域医療におけるクリニックのありかた。
「かわもと耳鼻咽喉科クリニック」院長
河本 光平先生
金子敏彦医師(金子耳鼻咽喉科院長/大阪市阿倍野区)
「クリニックでの日帰り手術の実現を目指して、お互い切磋琢磨してきた先生です。
最新の機材・優しく丁寧な説明・高度な技術で安心して日帰り手術を受けていただけ
ると思います」
Webで公開される学術セミナー
毎年、夏から秋にかけては全国各地でさまざまな学術セミナーや講演会が集中的に開催されます。医学界でもそれは同様ですが、そうしたセミナーによって私たちは最新の研究動向や知見に接する機会を持つことができます。しかし最近はセミナーの開催事情もやや様変わりしてきました。新しいトレンドをご紹介します。
■セミナーの新しい発信スタイル
いま注目されているのはWeb(ウェブ)を通じたプレスセミナーです(ウェブとセミナーを組み合わせて「ウェビナー」とも言います)。
これはインターネットを利用してセミナーや講演会の模様をWeb上で配信するもので、希望者が視聴したいテーマを選んで運営事務局に申し込めば、開催日にセミナーがライブで配信されます。講演内容に関する質疑応答もオンラインで可能です。
これまでは開催会場に足を運ぶのが一般的でしたが、ネットへの接続環境があれば自宅あるいはオフィスでもセミナーを視聴することができるのでその必要はありません。また、遠方で開催されるので参加が難しい場合でもWebなら容易にアクセスできます。
がんや認知症、再生医療など医学・医療をめぐる研究、知見、成果はめまぐるしく変化しています。そうした動きに後れを取ることなくWebセミナーによって情報を把握できるというのは、医学関係者のみならず医療に関心のある多くの一般の人にも有益な試みと言えそうです。
日本人の死亡原因第3位・脳卒中
平成30年8月に厚生労働省が発表した「人口動態月報年計(概数):平成29年」によると脳卒中(脳血管疾患)が日本人の死亡原因の第3位となりました。1位は悪性新生物(がん)約37万人、2位は心疾患約20万人、脳卒中では約11万人の方が亡くなっています(いずれも年間)。
突然襲ってくる脳卒中はとくに寒い季節の発症が多いとされますが、死亡原因とともに重視しなければならないのは認知症とともに要介護につながるケースが多いことです。
旭化成の吉野彰氏にノーベル化学賞
リチウムイオン電池の開発に貢献
スウェーデンの王立科学アカデミーは10月9日、今年のノーベル化学賞を旭化成の吉野彰・名誉フェローら3人に贈ることを発表しました。小さくて軽く、繰り返し充電して使えるリチウムイオン電池の開発が評価されました。リチウムイオン電池は、スマートフォンやノートパソコンといったモバイル機器に不可欠であるほか、近年は電気自動車や宇宙開発などにも広く活用されています。共同受賞者はテキサス大学のジョン・グッドイナフ氏とニューヨーク州立大学のスタンリー・ウィッティンガム氏。授賞式は12月10日、スウェーデンの首都、ストックホルムで行われます。
◆スマートフォンから電気自動車まで
吉野氏は大阪府吹田市の出身で、京都大学工学部を卒業。1972年に大学院工学研究科の修士課程を修了後、旭化成に入社しました。技術者として小型充電池の開発に取り組み、マイナス極の材料として特殊な炭素繊維が利用できることに着目。85年には現在のリチウムイオン電池の原型となる新型デバイスを完成させました。これに先立つ70年代、ウィッティンガム氏は世界で初めてリチウムを使った電池を発明。グッドイナフ氏はプラス極にコバルト酸リチウムを使うことを考案しましたが、実用化には至っていませんでした。
その後、小型で高出力のリチウムイオン電池は、携帯電話やノートパソコン、デジタルカメラといった持ち運びできる電子機器の普及に大きく貢献し、IT革命の原動力となりました。近年では電気自動車や宇宙ステーションなどにも活用され、現代社会を支える技術のひとつになっています。さらに、太陽光発電などの再生可能エネルギーを有効利用するためにも役立つといい、今後も用途が広がりそうです。
スウェーデン王立科学アカデミーは授賞理由で吉野氏らの貢献を「私たちの生活に革命を起こした」と高く評価しました。日本人のノーベル賞は、昨年の医学生理学賞を受賞した京都大学の本庶佑博士に続いて2年連続。化学賞では8人目となります。日本の科学技術の素晴らしさを改めて認識させる快挙だと言えるでしょう。
人工知能による画像認識で
歯周病の重症度を判定
大阪大学歯学部附属病院准教授
野崎 一徳 先生
大阪大学大学院歯学研究科助教
柏木 陽一郎 先生
歯周病は、40歳以上の約80%で何らかの症状があらわれるといわれ、重症になると歯を失うことも少なくない病気です。大阪大学大学院歯学研究科の柏木陽一郎助教と同大学歯学部附属病院の野崎一徳准教授らのグループは、人工知能(AI)による深層学習(ディープラーニング)を活用し、口腔内の写真から歯周病の重症度を判定する画像認識システムの開発に取り組んでいます。まだ技術開発の段階ですが、数年以内にはスマートフォンで口の中を撮影した画像から「すぐに歯科を受診しましょう」といったアドバイスを提供するようなサービスの実用化を目指しています。両先生にお話を伺いました。
産婦人科医の自殺は過労が
原因だったとして労災を認定
/広島地裁
僻地の総合病院に勤務していた産婦人科医の男性が自殺したのは過労による精神疾患が原因だとして、遺族が国に労災認定を求めた訴訟の判決が今年5月、広島地裁でありました。裁判所は、長時間労働と精神疾患の因果関係を認め、労災を認めなかった国の決定を取り消すよう命じました。遺族は「産婦人科医の労働実態の過酷さが周知され、環境改善の一助となることを願っています」と話しています。国は控訴せず、判決が確定しました。
疾患治療に全力を尽くすだけでなく
患者さんとのコミュニケーションも大切にしたい。
「はなまる耳鼻咽喉科」院長 中西 律子先生
中西先生は気さくで優しく、そして大変勉強熱心な先生です。本当の意味で「丁寧な処置」をされ、患者さんから絶大な信頼があります。
病気を見逃さないための設備投資も怠らず、クリニックながらCTスキャン等を導入されています。治癒への方向性をキッチリつけてくれる為、安心して診察を受けてられます。
「断らない救急医療」で5年連続の全国トップ評価
神戸市立医療センター中央市民病院
救命救急センター長 有吉孝一先生
厚生労働省が毎年発表している全国の救命救急センターの評価点数で、神戸市立医療センター中央市民病院が100点を獲得して289施設中の第1位となり、5年連続トップを達成しました。重篤な患者の受け入れ人数や地域医療との連携のほか、救急医療分野の教育や災害対応の機能など、45項目において非常に高い評価を受けました。「365日、24時間、断らない救急医療」を掲げる同病院の救命救急センターでは、年間3万件以上の救急外来を受け入れ、約8千人の患者が入院します。同センター長として最前線に立つ有吉孝一先生に、お話を伺いました。
数えきれない命を救ってきた
「神の手を持つ男」
心臓外科医 須磨久善先生
「神の手を持つ男」として知られる心臓外科医の須磨久善先生は、世界初の胃大網動脈グラフトによる冠動脈バイパス手術や日本で初めてのバチスタ手術(左室部分切除術)を手がけるなど、これまでに5000例以上の心臓手術を行いました。ほかにも様々な新しい治療法を開発し、たくさんの命を救っています。その活躍はNHK「プロジェクトX」(2001年)で取り上げられ、TVドラマ「医龍」や映画「チーム・バチスタの栄光」の医事監修を務めたほか、ご自身の半生を描いたノンフィクション「外科医 須磨久善」がドラマ化されるなど、メディアでも大きな注目を集めています。数々の業績を持つ須磨先生に、じっくりお話を伺いました。
ストレス疾患と現代人
~心のケアについて考える~
労働環境の改善を目指した「働き方改革」の関連法案が2019年4月から順次施行されていますが、法案の大きな柱となっているのが長時間労働の是正です。この背景には過剰労働によるストレス、それに起因する過労死などが大きな社会問題になっていることがあります。ストレス疾患と現代人についてまとめました。
多くの人が職場でストレスを感じている
メンタルヘルス(心の健康、精神的健康)が注目されるようになったのは1980年代
以降のことです。2001年の第一回『産業人メンタルヘルス白書』(日本生産性本部)では「職場ストレスは精神健康に大きな影響がある」と明記されました。
厚生労働省が10人以上を雇用している約14,000の事業所で働く人々、約18,000人の派遣労働者を対象に実施した調査では、職場で強いストレスを感じている人の割合はここ数年50~60%前後で推移しており、半数以上に及びます。内訳は「仕事の質・量」が53.8%ともっとも多く、「仕事の失敗、責任の発生」38.5%、「(セクハラやパワハラを含む)対人関係」30.5%などが続きます。
一方、社員のメンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は56.6%(前回平成27年調査では59.7%)となっており、やや減少傾向にあります。
*厚生労働省:2019年「労働安全衛生調査(実態調査)」より
ストレス疾患は何をもたらすのか
ストレス疾患は不眠、軽度なうつ病、パニック障害、乗り物や人込みへの不安、過
度の緊張感、出社意欲の減退など日常生活においてさまざまな影響を及ぼします。よ
くストレスを抱えやすいタイプとして「まじめで几帳面な人」「頑固で厳格な人」「内
向的でおとなしい人」「取り越し苦労の多い人」が挙げられますが、ほとんどの人はい
ずれかのタイプに属するのではないでしょうか。それだけストレスは身近なものである
といえそうです。
日常生活におけるストレス対策としては、
十分な睡眠をとること食生活(とくに朝食をしっかり摂ることは交感神経を活発にしてストレス耐性を高めます)身体の各部分をリラックスさせる(入浴が効果的)腹式呼吸を意識する(全身の緊張がほぐれます)
など、さまざまな解消法が知られています。
メンタルクリニックが果たす役割
とはいえ、ストレスの解消は容易なものではありません。
ストレスがたまるとどうしていいかわからない精神状態をもたらしてノイローゼを
生み、最悪の場合は自殺に追い込まれるケースもあります。そうした悲劇を防ぐにはス
トレスが生まれやすい職場環境にある人、日常的にストレスを自覚している人への心の
ケアがきわめて重要なものとなります。
そこで注目されるようになったのが心療内科、つまり医療者として心のケアに取り
組むメンタルクリニックです。
心療内科を掲げる医療機関の数は1990年には約1,000でしたが、2014年には3,890
でほぼ4倍となりました。この数字はメンタルなケアを必要とする人々が急増したことを意味します(数字は厚生労働省「医療施設調査」より)。
それぞれの医療機関では受診者に対して「どういう状況でストレスが生じることになったのか」「仕事によるものか、人間関係のせいなのか」「職場の環境に問題があるのか」など、その人が置かれている状況を把握するために多角的な視点からヒアリングをするほか、受診者本人の性格的な傾向、そこから考えられるさまざまな要因をカウンセリングによって聞き出し、本来の「自分」を早く取り戻せるようにサポートし、心のケアを
行います。
そこで基本となるのは受診者への「思いやり」「気配り」「細かな配慮」「優しさ」です。いずれも心療内科に携わる医師に欠かせないものですが、それは同時に受診する人が求めるものでもあるでしょう。そうした医師と受診者との相互理解と交流こそが心のケアに結びつくものと言えるかも知れません。
仕事が多様化し、職責への負担が大きくなる中、今後もストレスを抱える人が多くなることが予想されます。これまでにない気持ちの違和感、日常生活のリズムの狂いを感じる…そんな時はメンタルクリニックへの積極的な受診を考えたいものです。
健常から要介護へ移行する中間段階「フレイル」
■そもそもフレイルとは何?
フレイルという言葉を聞いて、それがどういうものかすぐに理解される人は少ないかもしれません。現段階では多くの人にとってなじみがなく、医療の現場でも十分に浸透していないのが実情のようです。
高齢になると筋力が衰えて疲れやすくなり、認知機能も低下します。誰もが避けることができない老化現象なのですが、そのまま推移すれば生活機能障害をもたらすだけでなく、要介護の必要を招くことにもなります。こうした状態をフレイルといいます。もとをたどれば海外の老年医学の分野で使用されている「Frailty(フレイルティ):虚弱や老衰、脆弱」を日本語に訳したもので、2014年5月に日本老年医学会が提唱しました。
フレイルをもたらす要因の中でも最も重視されているのが筋力の低下をもたらすサルコペニア(加齢性筋肉減弱症)、そして低栄養です。
筋肉量が減少するサルコペニアは身体能力の著しい低下を招くほか、それを実感した場合は日常生活で歩行速度が極端に遅くなったり、椅子から立ち上がるのに時間がかかったりするということが起こります。こうしたことが続くと外出を控えたり、身体を動かすことを意識的に避けるようになり、結果として身体の活動量全体を減らすことにもなって疲れやすくなります。
また、筋肉量の減少は生命活動を維持するために必要なエネルギーである基礎代謝量を低下させ、それに伴って消費エネルギー量も減ります。それは食欲の減退を生んで低栄養になりやすくなり、体重を減少させることにもなります。
しかも低栄養になると筋肉量はさらに減少し、サルコペニアが昂進するばかりか悪化させることになり、いわば負の連鎖を生んでしまいます。
健康を維持し、自立した暮らしを継続するためにはフレイルになる時期をいかにして遅らせるかが大切となります。
日本で唯一の仏教を由来とする
独立型緩和ケア病棟
あそかビハーラ病院 院長 大嶋健三郎先生
京都府城陽市にある「あそかビハーラ病院」は、浄土真宗本願寺派(本山・西本願寺)が設立した、ホスピス・緩和ケアを専門とする病院。「ビハーラ僧」と呼ばれる僧侶4人が常習しています。医師や看護師、薬剤師、宗教者などがチームとなり、病気の苦しみを取り除く専門家集団として、そして常に患者さんに寄り添い、手を触れ、耳を傾けながら、一人ひとりが亡くなる最後の瞬間まで自分らしく生き抜くことを支えています。2012年から院長を務めている大嶋健三郎先生に、お話を伺いました
整形外科をめぐる最新医療事情
医療法人高遼会 高遼会病院
院長 脇谷 滋之先生
運動器官の病気や外傷を取り扱うのが整形外科です。対象となるのは青少年から高齢者まで幅広く、疾病もスポーツ傷害、骨折、関節リウマチなど様々ですが、近年は高齢社会を反映して骨粗しょう症の患者が増加傾向にあります。その現況や医療現場の取り組みについて、骨代謝を専門とされ、細胞移植による関節軟骨の再生にも先駆的に取り組んでおられる高遼会病院の脇谷滋之院長にお聞きしました。
小児の甲状腺疾患や低身長、炎症性腸疾患、夜尿症などに特化して専門的な医療を提供
望月貴博先生…大阪市中央区「希望の森成長発達クリニック」
(診療科目・小児科/内分泌内科/胃腸内科)
先制医療としてのゲノム予防医学・歯学への展開
「第8回臨床ゲノム医療学会―大阪学術大会―」
特別基調講演 京都大学 名誉教授 井村裕夫 先生
特別講演 大阪国際がんセンター総長 松浦成昭 先生
特別講演 網膜再生医療研究開発プロジェクタリーダー
髙橋政代 先生
大会長 大阪歯科大学理事長・学長 川添堯彬 先生
脳・神経・筋疾患の
難病医療拠点病院として
杉山博医師
(国立病院機構宇多野病院前院長)
国立病院機構宇多野病院(京都市右京区)は、パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症(ALS)、筋ジストロフィーといった脳・神経・筋肉の疾患の治療における国内最大級の医療機関。約380床を備え、認知症や骨粗鬆症といった長寿医療、リウマチなどの免疫性疾患の治療にも力を入れています。観光名所の嵐山や金閣寺、龍安寺などに近い風光明媚な立地で、療養にも恵まれた環境。2013年から約5年半にわたって院長を務められた杉山博先生に、お話を伺いました。なお、杉山先生は本9月30日をもって同病院を定年退職されました。
「認知症」~暮らしの中から考える
世界的には5,000万人を超えると言われる認知症ですが、わが国の患者数は約462万人、65歳以上の高齢者の7人に1人と推計(2015年1月厚生労働省発表)され、それを基に2025年には患者数が700万人前後、高齢者の5人に1人が認知症になると言われています。また、誰もが発症する可能性のある認知症。その治療のための特効薬や、日々の暮らしの中での予防はどこまで可能なのか…などについて考えてみました。
医療格差の解消をめざす遠隔診療
医療分野におけるビッグデータの活用は拡がりを見せていますが、政府は『未来投資戦略2017』でビッグデータやAI(人工知能)などを生かした「新しい健康・医療・介護システム」を確立することを閣議決定しました(平成29年6月9日)。この方針にはICT(情報通信技術)を生かした遠隔診療も組み込まれています。遠隔診療の狙い、様々な動き、その現状や問題点についてまとめました。
突然死をめぐる宝塚病院の取り組み
医療法人回生会 宝塚病院
~第1回「防ごう 突然死」市民公開講座~
つい先ほどまで普段と変わらずに生活し、元気だった人が発症から僅か24時間以内に死亡する突然死。まさに急逝というほかはなく、家族は深い悲しみに包まれます。突然死のほとんどは急性心筋梗塞や狭心症、脳卒中や脳梗塞など心臓と脳の疾患に由来します。とくに多いのが心疾患を原因とするもので、年間約10万人、1日では約250人が命を落とすと言われます。ちなみに似て非なるものに「急死」がありますが、これは症状が急変して死に至るもので直前の健康状態は問われません。
突然死は事前に防ぐことは難しいと思われていますが、病態についての正しい知識を身につけ、心臓検診などの定期的な健康チェックを受ければ突然死を回避し、悲劇を少しでも減らせることは可能と考えているのが医療法人回生会塚病院の馬(ば)殿(でん)正人院長です。
【メディカル・トピックス】医療者として誠実であるために
近藤雅彦医師(医療法人近藤クリニック理事長)
大阪市北区茶屋町にある「近藤クリニック」は、都会で働く人々を支える医療機関のひとつ。理事長を務める近藤雅彦先生には、浄土真宗の僧籍を持つお坊さんとしての顔もあります。大阪・梅田のど真ん中で医療の最前線に立つ近藤先生に、日々のお仕事から人間の生き死にまで、忌憚のないご意見を語っていただきました。
バーチャル・リアリティ技術を活用した内視鏡手術のトレーニング
安藤英由樹博士
(大阪大学大学院情報科学研究科准教授)
内視鏡手術は消化器疾患などの治療で広く行われていますが、確かな技術を持つ医師の養成が課題となっています。大阪大学大学院情報科学研究科の安藤英由樹准教授は、バーチャル・リアリティ(VR)の技術を応用して、効果的に内視鏡手術のトレーニングを行う装置を開発しました。熟練の医師が手術する様子を追体験できるといい、トレーニングの結果を検証したところ実際に効果があったとのことです。安藤先生にお話をうかがいました。
てんかん発作を心拍データから事前に検知/ウェアラブル端末と機械学習を駆使したシステム
藤原幸一助教(京都大学大学院情報学研究科)
突発的に意識を失ったり全身がけいれんしたりする「てんかん」。発症率は100人に1~2人と決して珍しい病気ではなく、患者さんは全国に約100万人といわれています。その発作を事前に検知することで患者さんたちの生活を改善しようという取り組みを、京都大学大学院情報学研究科の藤原幸一助教らによる研究チームが進めています。患者さんが身に着けるウェアラブル端末で計測した心拍データを常時監視するアルゴリズムにより、少なくとも発作が起こる1分前に検知できるといいます。日本医療研究開発機構(AMED)のプログラムとして技術開発を進めており、医療機器としての実用化へ向けて5年後までに治験を始めたいとのことです。
患者さん第一の医療で地域を支える
青山輝義医師(関西電力病院泌尿器科部長)
関西電力病院(大阪市福島区)は、28診療科、400床を備え、大阪府がん診療拠点病院にも指定されています。大阪を代表する医療機関のひとつとして、どのように地域の医療を支えているのでしょうか。また、急速に少子高齢化が進む日本で、これからの医療はどうなっていくのでしょうか。泌尿器科部長として第一線で日々の医療に取り組んでいらっしゃる青山輝義先生に、お話をうかがいました。
これからの再生医療とその役割
澤芳樹教授(大阪大学大学院医学系研究科)
新しい医療として注目を集めている「再生医療」は近年、著しく発展しています。さらに、iPS細胞を活用することで、より画期的な治療が可能になると期待されています。平成30年2月、医療業界向けの大型展示会「医療・介護総合EXPO‐メディカル・ジャパン2018」が大阪市内で開催され、心臓の再生医療で世界の最前線を走る澤芳樹・大阪大学大学院医学系研究科教授(心臓血管外科)が、「これからの再生医療とその役割」と題して講演されました。
一般急性期病院では対応困難な
疾患・障害対象の専門医療に特化
全国142の病院を一つの法人として運営している、独立法人国立病院機構。京都府城陽市の南京都病院はその一施設であり、「政策医療」分野における神経・筋疾患、呼吸器疾患、重症心身障害、育成医療、長寿医療などの専門医療施設として、地域に欠かせない存在となっています。南京都病院ならではの役割や教育機関との連携など、さまざまな独自の取り組みについて。
独立行政法人国立病院機構 南京都病院
院長 宮野前健先生
医療ビッグデータが社会を変える
関西健康・医療創生会議セミナーより
京都大学大学院医学研究科
中山健夫教授
みなさん、ビッグデータという言葉をいつごろから聞かれているでしょうか。自然科学系のトップジャーナル「ネイチャー」では、2008年にビッグデータの特集がありました。その後、題名にビッグデータが含まれる論文が急増しています。
ただ、ビッグデータという言葉のきちんとした定義というと、意外によく分からない。ある重鎮の先生は、「(表計算ソフトの)EXCELで開けないのがビッグデータだ」とおっしゃっていて、定義とはいえなさそうですけども、すごく一般向けに分かりやすく解説しています。
iPS細胞はどこまで医療に関わることができるのか
第31回「日本臨床内科医学会」
平成29年10月8~9日、「日本臨床内科医学会」が開催され、両日には1,700名余の医師、医療業界関係者、報道記者などが詰めかける盛況となりました(会場:大阪市中央区・ホテルニューオータニ)。
メインテーマは「新たなる臨床内科学の夜明け~看取りからiPSまで~」で、中でも関心が高かったのは山中伸弥先生と高橋政代先生によるiPS細胞による治療や成果、今後の取り組みなどについての講演でした。両先生の講演要旨とともに学会長を務められた一般社団法人大阪府内科医会の福田正博会長を交えた鼎談についてもまとめ、当日の模様をお伝えします(文責・編集部/写真提供・日本臨床内科医学会運営事務局)。
「医学研究所」を持つ総合病院として
地域医療の中核を担い、先進医療を実践。
北野病院の歴史は、大阪の実業家・田附政次郎氏の医学に関する総合研究や京都帝国大学(現京都大学)医学部における学術研究を助成する目的でスタートしました。寄付金の提供及び財団法人田附興風会の設立を経て、それは1928年に遡ります。以来、医学の総合研究を推し進めながら、長年にわたり高度先進医療の基幹病院として、質の高い医療を提供し続けています。今回は北野病院の吉村長久病院長に、最近の取り組みなどについて伺いました。
(公益財団法人田附興風会 医学研究所北野病院)吉村 長久 病院長
〝うきは市〟のフルーツと健康効果について
福岡県うきは市長 髙木典雄
うきは市は、九州一の大河「筑後川」と「耳納連山」に囲まれ、大分県との県境に位置する福岡県うきは市は、福岡都市圏から車で1時間も満たない近距離にありながら、水と緑に恵まれ、風光明媚な自然環境、田園風景を今なお保っている、人口3万人のまちです。
中山間、山麓部には棚田や果樹園、平坦部には古い町並みや米、麦、植木等のほ場が広がっている他、古墳や神社、仏閣など歴史・文化遺産の多い地域でもあり、まさに日本の原風景がここにあるといっても過言ではありません。
■神戸アイセンター病院、開院
12月1日、神戸医療センター中央市民病院眼科は、神戸市の外郭団体が運営する先端医療センター病院眼科と統合し、「神戸市立神戸アイセンター病院」を開院した。開院に伴い、神戸市立医療センター中央市民病院眼科部長兼アイセンター病院整備室長の栗本康夫氏が院長に就任した。
同病院においては、中央市民病院の眼科と旧・先端医療センター病院の眼科機能を集約・拡充し、眼疾患に関し、白内障など標準医療から緑内障、黄斑・網膜循環、網膜変性、糖尿病網膜症、神経眼科、角膜、ロービジョンなどさまざまな専門外来や高機能眼内レンズなど最先端の高度眼科医療を提供していく。
地域医療機関との連携・協力体制を推進し、隣接する中央市民病院と医療機能面での役割分担の明確化を進めながら、引き続き、全身疾患を持った眼科患者への眼科医療を提供するが、神戸アイセンター病院で救急対応は行わない。中央市民病院の救急医と神戸アイセンター病院の眼科医が中央市民病院で救急対応を行っていく。
さらには同じ神戸アイセンターに入居する理化学研究所との連携により、iPS細胞を用いた臨床研究を始め、眼疾患に関する臨床研究及び治験推進の臨床基盤としての役割を果たしていくとともに、ビジョンパークを運営する公益社団法人NEXT VISIONと緊密に連携を行うことにより、治療後も視覚障害が残る患者へのリハビリテーションや社会復帰を支援し、眼科領域におけるワンストップセンターとしての役割を果たしていくという。
(どこかに小さくキャプション表示)
写真・図版は神戸市民病院機構「神戸市立神戸アイセンター病院」プレスリリースより引用
【囲み枠】
施設概要
・所在地 神戸市中央区港島南町2-1-8
・診療科目 眼科
・病床数 30床
・施設 敷地面積約2000㎡ 延床面積約8800㎡ 建物構造 鉄骨造地上7階建
■井村裕夫氏の記念銘板
先端医療技術の国際的な研究開発拠点として神戸市がポートアイランドで進めている医療産業都市構想は1998年に立ち上げられ、その中核施設として2003年に設立されたのが先端医療センター病院(60床)です。2014年にはiPS細胞を用いた網膜細胞シートの移植手術を世界で初めて実施するなど再生医療や臨床研究、治験分野をリードしてきましたが、11月1日に隣接する神戸市立医療センター中央市民病院(708床)に統合され、同病院の南館として活動をスタートしました。より高度な臨床研究に取り組むには大規模な総合病院との連携が不可欠という判断によるものです。
統合に先立つ10月31日、中央市民病院長、先端医療振興財団長などを歴任した井村裕夫氏を記念する銘板の除幕式が行われました。
井村氏は1931年生まれ。1954年に京都大学医学部卒業し、同大医学部長を経て1991年~1997年に京都大学総長として高等教育の改革に取り組みました。内分泌代謝病学、糖尿病学の臨床と研究で顕著な業績を積み重ね、国内外から高い評価を受けています。現在は京都大学名誉教授。
神戸市が進める医療産業都市には構想当初から関わり、先端医療環境のクラスターづくりに大きな役割を果たしました。銘板にはそうした功績や今回の統合の経緯などが記されており、除幕式には井村氏も出席しました。
これを機に病院の名称は「神戸市立医療センター中央市民病院 井村記念南館」と改められました。
「てんかん」という病気をもっと知るために
~第51回日本てんかん学会学術集会~
2012年4月、京都での軽ワゴン車の暴走があり、運転者を含む8名が死亡、12人が重軽傷を負う事故がありました。原因は運転手の持病であるてんかん(「癲癇」)発作とされましたが、その後も同様の事故が相次いだことからこの病気を抱える人びとへの偏見を生むものとなったように思います。
てんかんはそんなに怖い病気なのか、私たちはこの病気についてどこまで知っているのか…そうした問いかけを受ける形で、第51回日本てんかん学会学術集会では市民公開講座「てんかんをもっとよく知ろう」が開催されました(11月5日。国立京都国際会館)。
公開講座では小児科、内科神経科、小児発達支援学、脳神経外科など様々な分野の専門医の講演があり、テーマも「小児期のてんかん治療」「おとなのてんかん」「妊娠・出産をスムーズに」「学習・発達への影響」「てんかんを外科で治す」「てんかんを食事で治す」「てんかんのある人の心のケア」など多岐にわたり、様々な方向からてんかんという病態の解説と医学的な対応が紹介されました。
各講演後に行われた質疑応答ではご自身が患者で出産を控えている女性、同じ病気を抱えているお子さんについてご家族からの質問が寄せられ、いずれにも専門医から誠実な回答がありました。
てんかんの発作はいつ起きるのかわかりません。そこに患者さん共通の悩みと不安があります。そうした気持ちに思いを寄せることが偏見をなくす第一歩になるような気がします。
「健康は歯から」――府民公開講座と「8020」表彰
最近は歯の健康に対する人びとの関心が高くなっていますが、早くから「健康は歯から」をテーマに様々な啓発活動に取り組んでいたのが大阪府歯科医師会です。今年も第22回目となる大阪歯科保健大会を開催しました(10月28日。大阪口腔衛生協会との共催、大阪府、大阪市などが後援)。
当日は府民公開講座として豊田歯科医院(大阪市浪速区)の豊田裕章院長による「最新情報! 歯と体の健康を守る食生活のあり方について」の講演、80歳になっても20本以上自分の歯を保つ「8020(ハチマルニイマル)」を実践している方への表彰式など多彩なプログラムが構成され、あいにくの雨模様にもかかわらず多くの人びとが大阪府歯科医師会館(天王寺区)に詰めかけました。
豊田院長の講演は、主食(=ご飯)とおかずがはっきりとしている定食型の食事(朝は一汁一菜、夜は一汁多菜)が一番、一口で30回ほど噛むと唾液の分泌が促されて歯の健康にいいこと、私たちの食生活が一番よかったのは1970年代半ば頃など興味ある話が盛りだくさんで、とくに唾液は最高の歯みがき剤であるという指摘は印象に残りました。
続いて「8020」の表彰式が行われ、大阪府知事賞、大阪市長賞、大阪府歯科医師会長賞などが男女合わせて118人に授与されました。「8020運動」は厚生省(当時)と日本歯科医師会によって1989年からスタートしたものですが、表彰を受けた皆さんは高齢にも関わらずお元気で、歯の健康を守ることは生きる力の源泉のひとつになることを実感しました。
白内障の治療について
2017年度『目のすべて展』から
目に関わる疾病には様々なものがありますが、加齢によって誰もが発症を避けられないのが白内障です。早ければ40代から自覚症状(かすんで見える、まぶしくなって明るいところでは見えにくい、モノが二重、三重に見えるなど)が出るようになり、80歳を超えるとほとんどの人が白内障に近い状態になると言われます。
白内障とはどのような病気なのか、その治療法などについて『目のすべて展』での大中誠之講師の特別講演からその現況をお伝えします。
■大阪・秋の恒例行事となった『目のすべて展』
最初に『目のすべて展』について簡単にご紹介します。
10月は「目の愛護デー月間」ですが、その関連イベントとして行われているのが大阪府眼科医会主催の『目のすべて展』です。今年も10月8~9日にブリーゼプラザ小ホール(大阪市北区)で開催され、男女を問わず中高年の方を中心に多くの人びとが会場を訪れました。
同展では専門の眼科医を招いたさまざまな目の疾病に関する特別講演のほか、アイバンクの紹介、日本ライトハウスによる盲導犬の話、眼鏡調整のアドバイス、目の健康相談、クイズ、眼科啓発のためのパネル展示、児童・生徒の絵画展など、目に関わる多彩な企画で構成され、日頃から目の健康についての関心を持つ人にとっては欠かせない行事となっています。今年はご自身が視覚障害者である桂福点さんによる落語もあり、話題を呼びました。
1974年からスタートした『目のすべて展』は大阪府民を対象としたもので44回目となり、毎年秋の恒例行事としてすっかり定着した感があり、それを心待ちにしている人も多いとか。ちなみに主催をしている大阪府眼科医会はいまから124年前の1893年に設立され、わが国でもっとも古い歴史を持つ眼科医会です。
医療の“境界領域”を強化し、
迅速な救急・災害医療を提供。
明治38年の設立以来、100年以上にわたり地域の基幹病院として先駆的な高度医療を推進。赤十字の医療機関としての責務を果たしている和歌山医療センター。さらなる高度救命救急センターの充実と、国内外で展開する救護・救援活動などについて、日本赤十字社和歌山医療センター 平岡真寛 院長にお話を伺いました。
日本赤十字社 和歌山医療センター 平岡 眞寛 院長
心を通わせる医療連携で、
患者さん本位の全人的医療を推進
社会福祉法人 恩賜財団
大阪府野江病院
三嶋 理晃 院長
地域医療支援病院、大阪府がん診療拠点病院、そして一般急性期病院としても充実の医療体制を誇る「社会福祉法人 恩賜財団 大阪府済生会野江病院」。医療・介護・生活支援を一体的に提供する医療と福祉の総合センター「野江医療福祉センター」の基幹病院として、独自の地域密着スタイルを確立。積極的に多様な取り組みを行っています。三嶋理晃院長に近況を詳しく伺いました。
神戸市民病院機構が目指す
理想の先進医療と医療体制
高齢化社会が加速する中、高度先進医療や予防医療等をいかに地域の医療連携システムの中に組み込んでいくかが求められています。そんな状況下、地域の事情に配慮した機動力・柔軟性・透明性を高めながら、患者サービス向上を目指し、神戸エリアの連携を強化した医療体制を、今後の地域医療のモデルケースとして実現すべく取り組んでいるのが、地方独立行政法人 神戸市民病院機構です。現在推進中の中期計画や、就任後の思いなどについて、橋本理事長に伺いました。 地方独立行政法人 神戸市民病院機構 橋本 信夫 理事長
産業医と職場の連携強化で、「一億総活躍社会」の実現を
政府主導による働き方改革の推進で、厚生労働省でも職場における労働者の健康管理の取り組みを強化しています。目指しているのは、若者・高齢者・女性・男性・障がいのある人も、誰もが、職場や地域で存分に自分の力を発揮して生きがいが持てる社会=「一億総活躍社会」にすることであり、その実現に向けて要となる役割の一端を担うのが、企業に勤務する産業医の存在です。西日本旅客鉄道株式会社 健康増進センター 医長の橋村孝幸先生に、産業医の役割や職場環境の課題についてお話を伺いました。
西日本旅客鉄道株式会社 健康増進センター 橋村孝幸 医長
健康寿命の延伸に向けた
セルフメディケーションの推進
平成29年2月、国の「健康・医療戦略」の一部に、健康か病気かという二分論ではなく、健康と病気を連続的に捉える「未病」という発想が重要になると明文化されました。高齢社会に突入した今、これからのセルフメディケーションのあり方について、住友病院 松澤院長と、森下仁丹株式会社 駒村社長のお二人にご意見を伺いました。
~大阪医科大学 創立90周年~
その先を見据えた
「進化」と「深化」
1927年(昭和2年)、日本初の5年制医育機関(大阪高等医学専門学校)として誕生した「大阪医科大学」は、2017年6月に創立90
周年を迎えました。これまで数多くの医療人を輩出し、地域に根差した医・薬・看の連携を進めるとともに、西日本初となる「大阪医科大学BNCT共同臨床研究所・関西BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)共同医療センター」の建設にも着手。医療界の注目を集めています。建学の精神である“国際的視野を持つ人間性豊かな良質の医療人の育成”を着実に実践し、今後、医療系総合大学・学園としてさらに飛躍するためのさまざまな施策について、学校法人大阪医科薬科大学の植木理事長と佐野常務理事(歴史資料館館長)に伺いました。
▲1936年頃のヴォーリズ設計の学舎群
いつまでも健やかな人生を
送るために欠かせない「歯の健康」
80歳で20本の歯を残す「8020運動」の推進で、毎日の食を支える歯の健康への関心が高まっています。しかし、一方で30歳以上の約8割以上が罹患していると言われる歯周病(歯肉炎・歯周炎)、虫歯に悩む人もまだ多いのが現状です。「歯と口の健康週間」(6月4日~10日)を前に、歯科医療の現場で様々な治療に取り組んでおられる医療法人大樹会 春次賢太朗理事長、OBPデンタルクリニック大阪中央インプラントセンター 今上英樹総院長に、最先端の歯科治療や歯周病への注意喚起などについてお聞きしました。
高齢者をめぐる医療事情と
認知症予防を考える
わが国の総人口1億2,708万人のうち65~74歳は1,708万人(総人口の13.4%)、75歳以上は1,592万人(同12.5%)に達します(厚生労働省の統計・2014年10月現在)。この傾向は今後も続くと見られ、総人口に占める高齢化率はさらに上昇すると予想されます。
世界にも例のないスピード進む超高齢社会の進展は医療分野にも影響を及ぼします。高齢者をめぐる医療事情、高齢になるほど発症しやすい認知症(主にアルツハイマー病)についてまとめました。
医療と教育は
私たちに欠かせない社会的共通資本
~戦前戦後の医療史と近年の医学部指向をめぐって~
兵庫県医師会名誉会長・同顧問
川島 龍一先生
灘中学校・灘高等学校校長
和田 孫博先生
医療と教育は私たちの社会や暮らしと密接に結びついています。それぞれが担う責務と果たすべき役割はさまざまですが、今回の対談では川島龍一先生には医師としての立場から、灘中・高校校長の和田孫博先生には近年における医学部指向の高まりについて教育現場での受け止めを中心に語りあっていただきました。
関西医科大学総合医療センター
岩坂壽二 病院長
関西医科大学は1928年に大阪女子高等医学専門学校として開学し、その4年後に附属病院(その後、附属滝井病院)が開設され、地域社会の基幹病院としての医療活動に取り組んできました。2016年5月には新本館(地下1階地上7階建て延べ面積20,7347㎡・296床)の完成を機に「関西医科大学総合医療センター」と改称し、これまで以上に人と地域社会に貢献できる体制を整えています。開設から85年目を迎え、高度医療の提供とともに医療現場の整備や院内調剤など、患者本位という視点を強く打ち出している同センターの現況と今後について岩坂壽二病院長にお聞きしました。