AYA世代のがん

AYA世代の癌の罹患率(Adolescent and Young Adultの略)

 あなたはご存じですか、「AYA世代のがん」のこと 

 

 一般にがんの罹患率は年齢とともに高くなる傾向があり、そのために高齢者の病気というイメージがありますが、小児がん(0~14歳)も含めて若年層のがん発症例が少ないというわけではありません。そんな中で近年注目されているのが「AYA(ア ヤ)*世代のがん」です。

 

■患者が少ないゆえに遅れる体制整備

AYA世代とは15~39歳までの思春期、若年成人を指します。昨年10月に閣議決定された「がん対策推進基本計画」(第3期)に初めてこの文言が盛り込まれ、今年5月には国立がん研究センターが年齢別の罹患率を公表しましたが、こうした一連の動きはAYA世代におけるがんの発症とその対策が重要な課題になっていることを示しています。

同センターの推計(2009~2011年)によるとAYA世代が1年間にがんと診断されるのは2万人以上(15~19歳で約900人、20代約4200人、30代約16300人で、男女別では男性約7300人、女性約14100人で、10代では白血病、30代では女性の乳がんがもっとも多いことがわかりました。また、人口10万人あたりの罹患率は15~19歳で14.2人、20代で31.1人、30代では91.1人です(グラフ参照。出典:国立がん研究センター)。

AYA世代のがんの特徴は患者数が少ないだけでなく、脳腫瘍や胚細胞腫瘍・性腺腫瘍(卵巣がんや精巣がん)などの希少がんが主体となっているために多くの診療科にまたがります。また、小児に多いもの、成人に多いものなどがん種が混在し、それゆえに適切な医療の提供や体制整備の遅れがあり、結果として治療成績も良好ではありません。

これに加えて大きな問題となっているのがAYA世代におけるライフステージの問題です。

年齢的に就学、就職、恋愛、結婚、妊娠、出産などの問題に直面するだけでなく、経済的な自立が困難な時期でもあり、患者自身がさまざまな精神的な苦痛を抱えるケースが少なくないのです。いずれもプライベート性が非常に高いので、サポート自体が容易ではなく困難が伴います。前述の「がん対策推進基本計画」(第3期)がAYA世代に言及したのも、こうした問題を踏まえて今後とくに注力すべき分野であることを喚起するためでした。

 

■西日本初のAYA世代の専用病棟がオープン

このようにAYA世代のがんは多様な問題をはらんでいます。一般の理解も十分と言えるものではありませんが、こうした中、今年の4月9日に「AYA世代専用病棟」(27床)が大阪市立総合医療センター(大阪市都島区)に開設されました。これは静岡県立静岡がんセンターに続いて国内2番目、西日本では初めてのものです。

専用病棟ではAYA世代のがん疾患ごとにAYA緩和ケアチーム、精神科リエゾンチーム、看護師、保育士、医療ソーシャルワーカーなどのスタッフが患者の精神的な悩み、進学・就職などの相談にも応じるほか、病室にはゲームやパソコン、音楽、マンガなどAYA世代に対応したプレイルーム、学習室なども完備しています。

また、世代的に患者同士の年齢が近いことからがんについての症状や悩みをもち、同じような立場にある仲間が体験を語り合うことも可能となるため、病気の回復を目指すピアサポート(ピアは仲間、サポートは支援。専門家によるサポートとは違い、患者同士が相互に支えあって問題を解決すること)の空間を形成しやすいという専用病棟ならではのメリットもあります。

こうした専用病棟の開設はAYA世代のがんについての認知度を拡げる契機となるだけでなく、私たちの理解を深めることにもなり、それは一人ひとりの患者の孤立を防ぐことにもつながります。今後も各地で専用病棟が開設され、AYA世代のがんに対する医療体制の整備に結びつくことを期待したいと思います。