ハープの魅力

 

「ハープの魅力」

 

東京藝術大学ハープ科 非常勤講師ハープ奏者

福井 麻衣さん

 

 

  ハープの歴史は紀元前4000年古代エジプト、そして紀元前3000年のメソポタミアまで遡ります。昔は竪琴のような小さな楽器でしたが、時代と共に発展して行きました。あのフランス王妃マリー・アントワネットも愛しんで演奏していたそうです。

 そのハープの魅力に幼いころに魅了され、17歳のときに大決心をしてフランスに留学。2005年、日本人として初めて、パリ国際ハープコンクールを制し、数々の登竜門で実績を重ね、2014年大阪市より「咲くやこの花賞」(音楽部門)を受賞。今も国内外で演奏活動を続け、ハープの音色の魅力をもっと親しんでもらいたいと頑張っておられる、大阪出身のハープ奏者 福井麻衣さんにお話をお聞きしました。

 

 ■音楽に進もうと思われたきっかけとかございますか

小さい頃からピアノはしていたのですが、小学校1年の時にハープと出会い、一目惚れでした!ですが、その頃は音楽だけではなく、スイミング、テニス、サッカー、バスケットボール、乗馬もしており、音楽どっぷりという生活ではなかったです。それが気がつけばハープだけ残っていたという感じです。

 

 初めての発表会(スウェーデン・ヨーテボリ市日本人補習校)▶

 

 ■ヨーロッパを選ばれたわけは。

 留学先にフランス・パリを選んだ理由としましては、やはりハープの歴史がフランスはとても長いのとハープのためにかかれた曲はフランス人作曲家がとても多いという事ですね。(フォーレ、ドビュッシー、ラヴェルなど)又、音楽だけではなく、美術、フランスの歴史から学ぶ事も沢山あるのでパリ国立高等音楽院と決めました。

 小学生時代、父の仕事の関係で8年間スウェーデンに住んでいた事もあり、幸いにもヨーロッパがとても身近に感じた部分もあったかと思います。

 高2で留学を決めた際、パリ国立高等音楽院は下の年齢制限がなく(上は22歳までという制限があったのですが)3回まで受験できるので一度高2の時に挑戦してみようと思ったのが1つのきっかけとなりました。それがラッキーな事に1人だけ受かりました。(高3はパリ音楽院の1年に並行して通信教育で終わらせました。)

 

 ■現在の音楽活動のことは。

 パリでの生活は12年間に及び、パリ音楽生時代より、ヨーロッパツアーを組んで頂いたり、フランスのハープ界でもっとも大きい「ガージレス・ハープ・フェスティバル」に度々呼んで頂いたり、パリオペラ座の演目に参加させて頂いたり・・・そのような機会を与えて頂き、今はハープのソロ演奏を始め、室内楽で音楽仲間や先輩方と共演させて頂いたり、現代作曲家とのコラボで新曲に挑戦したりしています。

この4月からはとても光栄な事に東京藝術大学ハープ科で後進の指導をさせて頂いております。

 

■好きな演目などのこと。

 昔からオペラがとても好きです。演劇やミュージカルも好きなので音楽と舞台が一体化された形がとても魅力的ですね。

 ハープ独奏で今一番はまっている曲はフランスの作曲家、ガブリエル・フォーレの「塔の中の王妃」です。シンプルな旋律で始まりますが、繊細な部分や力強いパッセージがあり、お気に入りの1曲となっています。

18世紀後半、フランス王妃マリー・アントワネットが弾いていたハープは現在より二回り程小さいハープ(シングル・アクション・ハープ)であり、今もっとも使用されているハープ(ダブル・アクション・ハープ)は弦が47本、足元には3段階からなるペダルが7本あります。このペダルは半音階(フラット、ナチュラル、シャープ)を操作するためにあります。

 最近はエレクトリック・ハープという(エレキ・ギターのような)近代的ハープもあり、さまざまな音色が楽しめる楽器となっています。これは小型で方からかけて演奏できるので、移動が簡単なので、時代にあった演奏をもっとお届けしたいと考えています。


 

■これからやっていきたい事は。

 ハープの指導と並行して、やはりハープの魅力をもっと知って頂くため、演奏会にてより多くの方にハープの音色をお届けしたいです。どうしてもハープはゴージャスな楽器に見えてしまうので、もっと親しみやすく感じて頂けるよう、選曲など考え実践できたらと思っております。

 「ハープ・アンリミテッド」という公演をさせて頂いているのですが(タイトル通り、リミット無しの)ハープ演奏にチャレンジしており、これからもドンドンと色んな曲に取り組み、ぜひ皆様にハープを聴いて頂きたく思っております。

 

 【福井麻衣 略歴】

幼少期をスウェーデンで過ごし、ハープに巡り合う。

パリ国立高等音楽院修士課程を首席で卒業。05年パリ国際ハープ・コンクールにて日本人初の優勝。12年世界最高峰イスラエル国際ハープ・コンクールにて3位と特別賞を受賞。12年度青山音楽賞新人賞、14年「咲くやこの花賞」受賞。CD「ハープの宝石箱」が「レコード芸術」誌14年8月号にて特選盤に選ばれる。セイジ・オザワ松本フェスティバルの公演に参加。NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」FM大阪「くらこれ!」に出演。松尾正代、吉野篤子、モレッティ各女史に師事。08、09年ローム・ミュージック・ファンデーション奨学生。東京藝術大学ハープ科非常勤講師。

【オフィシャルサイト】http://maifukui.com